7か月で、作業は約半分に。
事故も4回起きた
今年の4月から、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングで売っている自社のEC業務を、AIで組み直しています。社内の勉強会で使った6分の動画と、その中身を文章にしたものです。
7か月の数字
私はエンジニアではありません。やりたいことを日本語で AI に頼み、出てきたものを確かめて直してもらう。それを7か月続けた結果です。
カレンダーの記録から集計。1月を100とした値。
人が減っただけでなく、残った一人ひとりの稼働時間も減りました。
10月の値は推計。
「この作業はこの順でやる」をAI向けに書いた文書。
できるようになったこと
大きな仕組みを1つ入れたのではなく、毎日の小さな手作業を1つずつ置き換えていきました。そのうちの7つです。
土日も、予算切れで止まらない
終わった瞬間に、一括で元に戻す
住所のコピーが、ボタンひとつに
倉庫の在庫が切れたら、出荷元を切り替える
6つの窓口を、1つの画面に
以前は、それぞれの画面にログインして返信していました。今は返品やキャンセルもその画面のボタンから処理できます。スタッフが直した差分をAIが学ぶので、下書きは少しずつ良くなっています。
問い合わせそのものを減らす
楽天のチャットの自動応答を、毎月見直しています。問い合わせの履歴から、お客様が知りたかったことを商品ページと自動応答に足していく。下は、自動応答が「役に立った」と押された割合です。
単位は%。10月は24日まで。8月に下がった理由は、まだ分かっていません。楽天全体の平均は3割弱と聞いています。
手が回らない週に、赤字にならない
以前は私が毎週4〜5時間、多いときは1日がかりで広告を調整していました。忙しい週は効率が落ちて、赤字になる。今は予算も毎週の調整も、ほぼ自動です。
良くなったのは Amazon の数字です。楽天の広告の ROAS は同じ時期に下がっていて、こちらはまだ立て直せていません。
事故も起きた
自動化は、間違いを、速く、正確に、繰り返します。7か月で起きた大きなものを4つ並べます。
特典が宅配便で出ていった
手作業の頃はすべてメール便だった特典の発送が、自動化したあと136件、宅配便で出荷されていた。低単価の品では、送料が商品の原価の数倍になる。
予算ルールが逆向きに動いた
成績の悪い広告の予算を半分にするはずのルールが、成績の悪い広告ほど予算を1.5倍にしていた。
100位台
セールの商品名が途中で切れた
セール用の商品名の付け替えで末尾が切れ、検索順位が2位から100位台まで落ちた。
検索キーワードを削りすぎた
「関連性が低い」というAIの提案どおりに検索キーワードを大きく削ったら、検索からの流入が約2割減った。元に戻すと回復した。
いまは、配送方法のように毎回のコストに効く設定は、実際の運用を知っている担当者に確かめてから決めています。商品名やキーワードは、理屈が正しく見えても一度に大きく変えず、1つずつ変えて1週間測ります。
コストは下がった。売上はまだ途中
作業時間と人の手間は、上の数字のとおり。
いま力を入れているのは、商品ページの磨き上げと、新商品の市場調査の2つ。
商品ページの磨き上げ
問い合わせ、レビュー、競合のページとレビュー、検索順位を、商品ごとにAIが分析します。どこで勝負するかを決め、お客様の疑問と、買う決め手を洗い出す。そこから商品名、説明文、キャッチコピー、ページの構成まで作り、画像も AI で一括で作ります。ここまでを半自動で回すテストをしています。
商品そのものの改善点は工場へ、新しい商品のアイデアは試作の相談へ回します。
結果は、まだ両極端
転換率(買った人の割合)が半分に落ちた。
転換率が約3倍になった。
2つはキーワード、お客様の流れ、出発点の数字が違います。ページの作りだけの効果かどうかは、まだ分かっていません。
画像の質は、写真と並んだ
148人に、AIで作った人物の画像と本物の写真を、どちらか伏せて見せました。「本物だと思う」と答えた人の割合です。
決め手は顔でした。架空の人物は顔が整いすぎて、見抜かれやすい。あとは、人のデザイナーに頼むときと同じように、きちんとディレクションできるかどうかです。
新商品の市場調査
今売れている商品にどれだけ勝てるかを確かめてから、工場と仕様を詰める。この流れを仕組みにしているところです。売上につながったかどうかは、まだ言えません。
これからやる3つのこと
- 商品を改善するプロセスの精度を上げる
- 売れる商品を、再現性高く出せるようにする
- 人の作業をAIに移しながら、判断する仕事をスタッフに任せていく
- 数字の期間は2026年4月から10月。どれも自社の記録(カレンダー、ストアの管理画面、広告の管理画面、アンケートの集計)から取っています。
- 他社で同じ結果になるとは限りません。うまくいかなかった話も含めて、実験の記録として公開しています。